かなり長期間、更新しておりませんでした。
昨年は10月以降が忙しく、開催させて頂いたレッスンと企業研修の報告も追いつかず、年が明け、あっという間に2月になってしまいました。
レッスンはちゃんと開催しております。
さて、本題ですが、本日、受講生様の環境がMac版の「Vectorworks Fundamentals 2019」をインストールされているパソコンにて、レッスンをしてきました。
新しくVectorworksの購入をご検討されている方や、特に、「Vectorworks 2015」以前のバージョンで業務をしていて、サポート期間が過ぎているため新規購入となる方が陥る問題があるだろうと痛感しました。
初心者の方で、評価版で操作性を確認された後、新規購入される方は要注意です。
Vectorworksといっても、5種類ある、というのも分かり難い所でしょう。
お仕事内容に応じて、種類を選ぶというところなのですが・・・。
評価版は、5種類あるVectorworksシリーズの中でも、シリーズ最上位の「Vectorworks Designer 2019」がダウンロードできます(2019年2月2日時点)。
シリーズ最上位のものですので、シリーズ全部盛り。
お値段も最上位です。
全てのユーザーに、「Vectorworks Designer 2019」が必要か?といえば、正直なところ、必要ないです。
講師業と並行して、勤めている会社の業務では、検討パース作成、3Dのオブジェクトをデザインしてそれを3D化、平面図、立面図など作成しておりますが、使用しているのは「Vectorworks Fundamentals 2017」で問題なく作業できています。
勿論、運用費用に余裕があるのであれば 「 Vectorworks Designer 2019」 をどうぞ! となりますが。
しかし、私自身もそうですが、個人事業主の方や、多くのケースでは、色々な事情から 「 Vectorworks Designer 2019」以外を選択するという事になるかと思います。
今後、バージョンアップをされる企業様でサポートセンター等の外注に頼らず、社員さん自らがアプリケーションの管理をされているお立場となりますと、実務の内情などはあまり分からない上司に承認のハンコをもらわなければいけないというシチュエーションもあるかと思います。
そうなったときに、その上司はネットで販売価格を確認した上で、こう言うでしょうね。
「キミ、なんで今までのと違う名前の値段の高い方が必要なの?」と渋られ、その理由とやらを紙面でよこしなさい、と。
そういう方の為にも、これはベクターを愛するが故のボヤキであり、多くの方に快く使って頂きたいという想いもあり、長くなりますが、書かせて頂きたいと思います。
表題の「“ Vectorworks 2019 新規購入の場合 どれを選ぶべきか ”の経緯 」ですが、長いので別記事で結論を書きます。
→とにかく早く結論を知りたい方はこちら
<“ Vectorworks 2019 新規購入の場合 どれを選ぶべきか
” の経緯(という名の愛のあるボヤキ)>
レクタのレッスンにいらっしゃる受講生様のお仕事の分野が、建築系というよりは、内装関係の方がほとんどです。
インテリア関係以外ですと、イベントの設計施工会社のデザイナー様、ステージセットのデザイナー様、店舗デザインのデザイナー様、Jw-CADからの乗り換え(設備系設計)希望の受講生様もいらっしゃいます。
ですので、これまででしたら、
『Fundamentals』で良いですよ~♪
とお伝えできました。
そう・・・“ これまでは ”・・・・。
お仕事内容にもよりますので、一概には言えませんが、
①図面を書く(CADとして使う)
②立体にして検討する(早く、そして多くのケースを想定する検討用のCGを作成する)
という目的で Vectorworks を使うのであれば、Fundamentals で充分でした。
でした、ですよ。
A&AのHPで昨年8月には告知はされていたものの、Vectorworks を使ったことがない初心者様にとっては、これは一体何のことを意味するのか、全く分からない内容ですよね・・・。
一応、リンクを貼っておきます。
↓
Vectorworks Fundamentals 2019 搭載機能変更のご案内
リンクを見て頂くと分かりますように、今回のバージョンアップでの改変は、これまでの Fundamentals ユーザーからしてみたら、業務にも支障が出る内容でありますので、かなり大きな問題だと思いますが、如何でしょうか?
特に、昨日お伺いさせて頂いた受講生様のケースになりますが、「Vectorworks Fundamentals 2015」以前のバージョンで業務をしていて、サポート期間が過ぎているため新規購入となる方は、これまでと同様に何の疑いも無く「Vectorworks Fundamentals 2019」を選んでしまわれ、インストールしたものの当日から作業が滞ると思います。
購入方法も、納期の早い○マ○ンや、量販店で購入(ポイント還元あるし♪)してしまう事も多いと思うのですよね。
インストールして、いざ作業!
↓
あ?れ?
メニューを隅から隅まで探してみても、パレットを全部見ても、・・・・無い。
これまであった「壁ツール」はどこへ????
↓
慌ててサポートセンターに電話。
↓
やっとのこと繋がったら、この事実が判明。
↓
『 追加モジュール』とやらの購入を告げられる。
↓
悶々とした想いで作業が中断。
ということが無いためにも、この記事を読んで頂き、「Vectorworks Fundamentals 2015」以前のユーザーの方は間違っても「Vectorworks Fundamentals 2019」を買わないようにしてください。
平面図などの図面を書くという、『CADとしての側面』。
そして、その平面図のデータを使って3D検討ができてしまうという『CG作成ができるというレンダーとしての側面』。
これらの両方の側面を持つVectorworksだからこそ、3DCG CADとも言われている訳です。
それには、2次元図形の要素と3次元の立体図形の要素を兼ね備える『ハイブリッド図形』を使用して作図できるという点が、Vectorworksの強みであります。
やっと、言いたいことに近づいてきました。
まだしばらく我慢してお付き合いください。
Vectorworks 2018 より以前の Fundamentals には、ハイブリッド図形の作成ツールである「壁ツール」や、プラグインオブジェクトの「ドア」「窓」が標準機能として搭載されていました。
「壁ツール」で書いた「壁」と「ドア」や「窓」の併せ使いの便利さをご存知の方でしたらお分かりだと思います。
「ドア」や「窓」はデータパレット(この名称もVer.2018まで)で「大きさや種類の変更」「開く方向の変更」が可能であったり、「壁」に挿入してあった建具を削除すると建具のあった所の壁が元通りになっているというのもありますが、何より、この「ドア」と「窓」は立体データの情報もあり、壁にちゃんと挿入できること(3次元で、壁に建具の枠が嵌る大きさの穴が開いていて、そこに建具が嵌っている見え方をするというイメージです)が作業の速さにも繋がっています。
これらの『ハイブリッド図形』を使って作図することで、平面図としての機能も果たし、そして、3次元の立体図形にもなっているので、平面図上でカメラを配置して、視点の高さなどを設定すれば、室内空間に立って見たら、デザインしたものはどのように見えるのかという簡単なボリューム検討が時間もかからずできるのです。
下の方に、参考に画像を挙げますが、こちらのパースでは、「壁ツールの壁」と「柱データ」と「ドア(枠のみの設定)」で商業施設のトイレの俯瞰図を作成しました。
レンダリングの種類は「RWアートのセル画」です。
「壁」の上で「ドア」をクリックすれば、開口部や建具が挿入されるので、操作が慣れていれば、この後に、Photoshopで画像の修正したりする時間も含めて、1時間30分から2時間程度で簡易パース作成(RWアートのレンダリングで)が完了します。
※操作と経験値で個人で所要時間の差はあるかと思います。
今回の「Vectorworks 2019」におけるバージョンアップでは、「Vectorworks Fundamentals 2019」 から「壁ツール」や「ドア」「窓」機能など(Fundamentals から削除される機能・コマンド一覧 参照)を削除して、デザインシリーズと言われる、Architect・Landmark・Spotlight に集約された、との事です。
内装関係のお仕事をされる方は、「窓」や「ドア」は必ずと言って良いほど使うものですよね。
私は「Vectorworks Fundamentals 2018」 のツールセットに「窓」や「ドア」の表示が無くても、下にある▼印から『ツール一覧』を選んで表示させるように選んでカスタマイズして、まるで Architect や Designer を使っているかのように使っています。
※こちらの方法は、また後の記事で解説します。
でも、「Vectorworks Fundamentals 2019」では、機能そのものが搭載されていないから表示もできないという訳です(泣)。
「Vectorworks Fundamentals 2019」の CADとしての存在理由として、「ベクターワークスらしさ」を削除してしまっている状態で、一体どのような業務をするユーザーをターゲットにしているのか?個人的にはちょっと理解しがたいです。
今年から数年後にかけて、多くの企業様が導入しているVectorworksをバージョンアップしなければならないことになると思います。
これまで運用費用を抑える目的で Fundamentals を導入されている企業様が多い中、消費税の税率も変わりますし、今後の費用面で変化が余儀なくされる事になると感じました。
ちなみに、これまで作図していた2018年発売以前のバージョンで作図されている「壁」や「ドア」「窓」のデータは、「Vectorworks Fundamentals 2019」 では表示はされるようですが、編集ができないそうなので、業務が滞ると予想されます。
何年も前の事ですが、バージョンアップに伴い、同様のことがあったことを思い出しました。
プラグインオブジェクトの「窓」「ドア」のデータを選択して、データパレットで建具の幅や高さなど数値の変更や形式の変更ができるはずが、全て英語表記になっており、数値入力できる欄がグレーになっていて入力できないようになっていました。
多分、今回のバージョンアップでも似たような感じになるのだろうと予想されます。
という事で、愛のあるボヤキは以上です。
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